2011 Fiscal Year Annual Research Report
低温弱磁場超伝導状態におけるマイクロ及び多段フラックスジャンプ発現機構の解明
Project/Area Number |
21540357
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天谷 健一 信州大学, 教育学部, 教授 (70261279)
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Keywords | 異方的超伝導 / フラックスジャンプ / 磁化 / ピニング |
Research Abstract |
スピン三重項超伝導体Sr_2RuO_4やUPt_3に磁場を[001]方向に印加し磁化測定を行なうと,極低温下においてゼロ磁場近傍でヒステリシス磁化に多段のマイクロフラックスジャンプが起こるが,この現象は,スピン三重項超伝導体中の超伝導ドメイン構造に深く関連していると考えられる.一方,スピン一重項超伝導体の場合にもゼロ磁場近傍で多段のフラックスジャンプが観測されているが,Sr_2RuO_4やUPt_3の場合と比較して,そのフラックスジャンプの大きさが格段に大きいという特徴を持ち,上記のスピン三重項超伝導体のフラックスジャンプと明らかに異なっている.本研究では,対称性の異なる超伝導体で発生するフラックスジャンプの類似点・相違点等を詳細に調べ,超伝導対称性との関係について調べた. まず,スピン一重項超伝導体(UPd_2Al_3,CeRu2),およびスピン三重項超伝導の可能性が強い超伝導体(Sr_2RuO_4,UPt_3,UBe_<13>)の単結晶試料について,希釈冷凍機と超伝導磁石を用いたキャパシタンス式ファラデー法による磁化測定を行った.その結果,スピン三重項超伝導体Sr_2RuO_4およびUPt_3において,磁場勾配に関して異なる振る舞いを見せることがわかった.Sr_2RuO_4の場合,弱磁場でヒステリシス磁化は磁場勾配の大きく影響されるのに対して,UPt_3の場合,磁場勾配の大きさには磁化は影響を受けない.dベクトルの異方性などが関与している可能性も考えられる. 次に,申請した電磁石や既存のGM冷凍機を用いて交流磁化測定装置および磁気抵抗測定装置の立ち上げを行い,さらにGM冷凍機を改良し,無負荷の状態で最低到達温度を1.8Kまで下げられるようにし,低温実験を簡便に行えるように実験装置を更新した.
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Research Products
(1 results)