2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540359
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 則雄 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10169683)
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Keywords | モット転移 / 量子凝縮相 / 光格子 / フラストレーション / 量子ゆらぎ |
Research Abstract |
本年度の研究で、以下の成果が得られた。 (1)光格子フェルミ粒子系の量子クエンチ動力学 冷却原子系の分野で、相互作用やポテンシャルを瞬時に変化させ、その後の時間発展を研究する「量子クエンチ」の実験に大きな進展がみられている。ここでは、フェルミ多体系のモット相が、量子クエンチによってどのような時間発展を示すかを調べた。その結果、モット相が存在する場合、金属相と全くことなる物理量の時間発展があることを明らかにした。 (2)冷却フェルミ原子系における量子相転移 冷却原子系で将来的に実現されると期待される磁気秩序状態に関する研究を行った。強磁性発現のモデルとして、フラットバンドを持つハバード模型を取り上げた。この系の相関効果を扱うため動的平均場理論と数値繰りこみ群を用いて、基底状態の性質を明らかにした。相互作用の増加に従って、弱相関のフラットバンド強磁性から強相関のハイゼンベルクフェリ磁性へとクロスオーバーが起こることを明らかにした。特に、クロスオーバー領域において磁気秩序状態が最も安定化されることを示した。 (3)強相関電子系におけるモット転移 フラストレーションを持つ電子系におけるモット転移を調べた。典型的な例として3角格子電子系を取り上げた。動的平均場近似と連続時間量子モンテカルロ法を組み合わせて、有限温度モット転移について詳細に調べ、異方的3角格子ではリエントラント型のモット転移が生じることを明らかにした。この結果は以前Hirsch-Fyeモンテカルロ法により得られていたものと整合しており、今回の計算で高精度の相図を確立することができた。
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Research Products
(4 results)