2009 Fiscal Year Annual Research Report
不均一超流動ヘリウム3における奇周波数状態の線型応答に関する理論的研究
Project/Area Number |
21540365
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東谷 誠二 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (70304368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 克彦 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 名誉教授 (90034743)
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / アンドレーエフ束縛状態 / マヨラナ型準粒子励起 / 奇周波数状態 / スピン帯磁率 |
Research Abstract |
平成21年度は、超流動ヘリウム3薄膜のスビン帯磁率に関する研究において、以下のような成果を得た。超流動ヘリウム3の液面や容器壁近傍には、アンドレーエフ束縛状態と呼ばれる表面準粒子束縛状態が形成されることが知られている。また、並進対称性の破れに起因して、奇周波数対称性券右する秩序変数が表面付折に誘起されることが理論的に予想されている。この奇周波数秩序変数は現在のところ観測されていないが、アンドレーエ束縛状態についてはその存在が横波音響インピーダンス測定によっで確認されている。我々は、超流動ヘリウム3-B相のアシドレーエラ束縛状態の波動関数とその磁気応答を詳細に調べた。アンドレーエフ束縛状態に関して、スピン演算子の行列要素を計算すると、スピン演算子の表面に平行な成分の行列要素はゼロになり、垂直成分のみが有限な行列要素をもつという結果が得られた。アンドレーエフ束縛状態は、磁場を表面に垂直にかけた場合にのみ磁化に寄与するのである。その結果、超流動ヘリウム3-B相薄膜のスピン帯磁率は磁場の方向に関して顕著な異方性をもつ。さらに、アンドレーエフ束縛状態はマヨラナ型準粒子励起と見なせることも指摘した。これらの結果は日本物理学会の欧文誌(Journal of Physical Society of Japan, JPSJ)の2009年12月号に掲載され、注目論文(Papers of editors' choice)に選ばれた。
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