2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540369
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
村田 惠三 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90291591)
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Keywords | ポリマー / 超伝導 / 超高圧 |
Research Abstract |
今回、より結晶性の高い共役性ポリマーの輸送特性を調べ、室温以下の低温電気伝導特性、特に低温での伝導度の向上しそうな新しい物質についての電気伝導特性を探索した。元来、ポリマーは結晶に対比される概念であり、結晶的なポリマーというのは、モノマーが周期性よく重合した物質を指す。今回、トポケミカル重合で作成したポリジアセチレン(PDA)は大阪市立大学の松本章一教授から試料の提供を受けた試料で電気伝導度を測定した。PDAにはいくつかの重合の方法があるなかで、結晶性が抜群によい。ポリジアセチレンは側鎖置換基が化学的に選べることから、Littleの超伝導モデルに近いともいえる。難点は結晶性が良すぎて、ドーピングすら受け付けないことである。電気伝導度は0.01~0.26S/cmの値を得ている。しかし測定のための接触抵抗がなかなか下がらず500ohm~1kohm程度で理想的な測定にはならなかった。但し、電気抵抗は室温よりヘリウム温度まで抵抗値が増大するが、半導体的な発散はせず、高々10倍以内であったが低温特性に特に抵抗の減少は見られなかった。 もうひとつ結晶性がよく経時変化につよいまた安定な、thiophene系の物質が入手できたので、これについて調査研究を行った。PEDOT(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene))-PSS(polystyrenesulfonate))である。輸送現象の研究を行った。 PEDOT-PSS自身は常圧でも、低温金属状態は見られていなかったが、類似系の(PEDOT(PF6))は10K以下、金属性を示し、試料の安定性があったため、高圧効果などは測定することに意味があると考えた。その結果は図5に示すように、抵抗比(ρ1K/ρ300K)<10であり、抵抗の低温発散は認められなかったが、圧力に対しては全く変化が見られなかった。 しかし、両物質はもう少し掘り下げた研究をしてみる価値がありそうなことが判明した。
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Research Products
(3 results)