2009 Fiscal Year Annual Research Report
CeおよびYb化合物の強相関電子帯構造の第一原理計算
Project/Area Number |
21540372
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柳町 治 National Institute for Materials Science, 量子ビームセンター, NIMS特別研究員 (60005957)
|
Keywords | 物性理論 / 磁性 / 強相関電子 |
Research Abstract |
研究目的:本課題は、CeやYbなどの化合物の高濃度近藤状態や価数揺動状態など、強相関電子としての性質を示す系にたいし、動的平均場近似理論(DMFT)に基礎をおいた第一原理バンド計算のコード開発を行うこと、またAuCu3型結晶構造をもつ物質群へのその適用を行うことを目的としている。4f電子系に対する定量的計算においては結晶場効果、スピン軌道相互作用、価数数揺動に伴う正しい交換相互作用効果を取り入れることが必須である。これらを取り入れる近藤効果の解法の理論的枠組みとして、我々が以前に発展させたNCAf2vを実用に向けて拡充することを第一の目標とした。 本年度計画と結果:version1として開発したコードによりCePd3,CeRh3,CeIn3,CeSn3への適用を進めながら、現実の系への適用によって顕わになる様々な問題点の解決を図り、version2への準備を進めることを本年度の目標とした。 CePd3は4f系が遍歴的である低温においてセミメタル的なバンド構造を示し、高温の局在的4f電子状態領域では1価金属的バンド構造に変化することが示された。低温領域のフェルミ面構造は局所密度近似によるバンド計算の結果と良い一致を示す。また、高温への変化は4fバンドの高エネルギー側へのシフトと寿命幅の増大の二つの要素が関係する。 セミメタル的領域では占有電子数のバンド電子的カウント法(占有k状態のカウント)と、状態密度積分によるカウントが正確に一致すること(フェルミ液体サムルールの成立)が望ましいが、NCAf2vcではこれが必ずしも成立しないことが明らかになり、様々のカウント法を工夫した。renormalized band描像を援用することが現実的であることが明らかになった。CePd3に対する上記の結論は、この方法により示されたものである。 当初計画では初年度にversion2の開発完了を目指したが、電子数カウント法の改良に手間取り、開発の途中段階にある。CePd3とCeRh3の計算結果については現在投稿中である。
|
Research Products
(4 results)