2010 Fiscal Year Annual Research Report
CeおよびYb化合物の強相関電子帯構造の第一原理計算
Project/Area Number |
21540372
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柳町 治 (酒井 治) 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームセンター, NIMS特別研究員 (60005957)
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Keywords | 物性理論 / 磁性 / 強相関 |
Research Abstract |
研究目的:本課題は、CeやYbなどの化合物の高濃度近藤状態や価数揺動状態など、強相関電子としての性質を示す系にたいし、動的平均場近似理論(DMFT)に基礎をおいた第一原理バンド計算のコード開発を行うこと、またAuCu3型結晶構造をもつ物質群へのその適用を行うことを目的としている。4f電子系に対する定量的計算においては結晶場効果、スピン軌道相互作用、価数数揺動に伴う正しい交換相互作用効果を取り入れることが必須である。これらを取り入れる近藤効果の解法の理論的枠組みとして、我々が以前に発展させたNCAf2vを実用に向けて拡充することを第一の目標とした。 本年度計画と結果:version1として開発したコードによりCePd3,CeRh3,CeIn3,CeSn3への適用を進めながら、現実の系への適用によって顕わになる様々な問題点の解決を図り、version2の開発を進めることを目標とした。 CePd3は4f系が遍歴的である低温においてセミメタル的なバンド構造を示し、高温の局在的4f電子状態領域では1価金属的バンド構造に変化することが示された。低温領域から高温領域へのフェルミ面構造の変化の視覚的表示等を進めた。CePd3とCeRh3についての研究結果は公刊した。CeIn3は常圧では反強磁性転移を示すが加圧により磁気転移が消失し、低温に超伝導相が現れる。加圧に伴うバンド構造の変化を調べた。低温相におけるフェルミ面構造はLDAに基づく結果と異なることが分かった。ドハース・ファンアルフェン(dHvA)振動の実験の解釈につき、従来はLDA計算が参照されていた。DMFTの結果によるdHvAの新解釈が可能であるか、振動周期の計算やポジトロン消滅実験によるフェルミ面観測実験にたいする計算コード等の開発を行った。DMFT計算の結果が全体を統一的に解釈出来る可能性を示した。当初計画では本年度にversion2の開発完了を目指したが、上記実験解析用プログラム開発に手間取り、自己エネルギー計算部分(NCAf2vc部分)の修正のみに留まった。CeIn3の計算結果については現在投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)