2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540374
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
神戸 振作 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40224886)
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Keywords | 超伝導 / 隠れた秩序 / NMR |
Research Abstract |
本研究の目的は超純良化された単結晶を用いて、超伝導体の隠れた秩序相の磁気励起を測定し、隠れた秩序相を同定することである。まずは超純良化された単結晶の評価を行う必要がある。そこで今年度は、超純良化された重い電子系超伝導体URu_2Si_2の零磁場下での核磁気共鳴(NQR)測定を行った。まず、試料の純良度を今までの試料と比較するため、零磁場下でRuサイトの核四重極(NQR)共鳴実験を行った。試料は0.1mmx0.3mmと非常に小さい。そこで試料の信号を強くするため、直径50μmの銅線を用いて、非常に小さいRFコイルを作成し、フィリングファクターを90%まで向上した。NQRは通常のパルス法を用いて、FID信号をフーリエ変換してスペクトルを測定した。測定は無冷媒クライオスタット内で行った。3KでのRu-NQR信号の線幅は80kHz程度であった。これは従来までに報告されている試料の線幅100kHzに比べて若干小さくなっていると考えられる。超純良化により、試料内の不純物や欠陥が少なくなっていることが分かった。また隠れた秩序転移温度は17Kであるので、すでに秩序相での線幅を測ったことになる。しかしながら、線幅は非常に小さいままであった。これは隠れた秩序ではRuサイトに超微細相互作用の変化を生じさせないことを示唆している。しかし、今年度は温度依存までは正確に測定していないため、17K以上までのスペクトルの温度変化を測定する必要がある。今後は17Kに現れる隠れた秩序転移でのスペクトルの変化について測定する予定である。
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