2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540374
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
神戸 振作 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40224886)
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Keywords | 超伝導 / 隠れた秩序 / NMR |
Research Abstract |
今年度は、超純良化された重い電子系超伝導体URu_2Si_2の核磁気共鳴(NMR)測定をさらに推進した。29Si同位体を50%濃縮した試料を作成した。この試料を用いて、SiのNMRスペクトルを精密に測定した。29Si同位体の自然存在比は4.7%のため、50%濃縮することにより(50/4.7)^2=110倍のS/Nを向上させられことができる。実際、磁場をa軸方向にかけてナイトシフトを測定し、超微細相互作用定数を初めて決定することに成功した。決定された値はc軸方向の場合に比べて大きかった。これは、a軸方向では、静帯磁率の温度依存が小さいにも関わらず、超微細相互作用定数が大きいことを示している。その原因としては、a軸方向に磁場をかけた場合、Siサイトを取り囲む4つのUサイトからの超微細相互作用が加算されることが予測されることによるものが一因であると推測される。Si-NMRスペクトルの線幅を測定したところ、29Si同位体を濃縮しなかった試料に比べて、線幅が広いことがわかった。これは、29Si同位体を濃縮することにより、ライクスピン間の核双極子-双極子相互作用による線幅が増大していることに起因しているものと考えられる。このように29Si同位体を濃縮によるライクスピン間の核双極子-双極子相互作用による線幅が増大が見えることは、通常の磁性体ではまれである。なぜならそれ以外の線幅への寄与が大きく、このような効果は見えないからである。今回のように、ライクスピン間の核双極子-双極子相互作用による線幅増大が見えたことは、試料が非常に純良であることを示している。今後は、線幅の磁場依存等を測定する。
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