2011 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
21540374
|
|---|
| Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
|---|
Principal Investigator |
神戸 振作 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主席 (40224886)
|
|---|
| Keywords | 超伝導 / 隠れた秩序 / NMR |
|---|
| Research Abstract |
今年度は、超純良化された重い電子系超伝導体URu_2Si_2の核磁気共鳴(NMR)測定をさらに推進した。29Si同位体を50%濃縮した試料を作成した。この試料を用いて、SiのNMRスペクトルを精密に測定した。29Si同位体の自然存在比は4.7%のため、50%濃縮することにより(50/4.7)^<2>=110倍のS/Nを向上させられことができる。
今年度は、Si-NMRスペクトルの線幅について詳細に測定した。すべての場合スペクトルの形はローレンツ型であった。これは線幅が不均一さを原因として広がっていることを示している。しかし、29Si同位体を濃縮しなかった試料に比べて、線幅が広いことがわかった。これは、29Si同位体を濃縮することにより、ライクスピン間の核双極子-双極子相互作用による線幅が増大していることに起因しているものと考えられる。このように29Si同位体を濃縮によるライクスピン間の核双極子-双極子相互作用による線幅の増大が見えることは、通常の磁性体ではまれである。なぜならそれ以外の線幅への寄与が大きく、このような効果は見えないからである。今回のように、ライクスピン間の核双極子-双極子相互作用による線幅増大が見えたことは、試料が非常に純良であることを示している。磁場をab平面内で回転させ、線幅の変化を測定したところ、4回対称性があることがわかった。これは、結晶対称性とコンシステントである。この4回対称性の強さは、隠れた秩序状態で大きくなることがわかった。隠れた秩序パラメーターと4回対称性の強さに相関があることを示している。実際、隠れた秩序相で4回対称が破れて、2回対称になるモデルでもこの増大を説明できるがわかった。
|
