2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピンホール効果の微視的研究:時間反転対称性とトポロジカル不変量
Project/Area Number |
21540378
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福井 隆裕 Ibaraki University, 理学部, 教授 (10322009)
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Keywords | 量子ホール効果 / 量子スピンホール効果 / 時間反転対称性 / Z2トポロジカル不変量 / ディラック演算子 / トポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導体 / マヨラナ・ゼロ・モード |
Research Abstract |
低次元系では対称性の破れによる秩序でなく、トポロジカル秩序が重要な役割を果たし得る。その典型例として量子ホール効果が長年研究されてきたが、最近、量子スピンホール効果がKaneグループによって予言され大きな興味を引いている。この両者の違いは時間反転対称性の有無にあり、時間反転対称な後者においては、Z2トポロジカル不変量なる新しい不変量が系を特徴付けることが示された。本研究課題は、この新しい72不変量の基礎付け・一般化という点と、物質探索などへの応用という点から行うことを目的としてしている。 今年度においては、まず、Z2不変量の一般化に大きな進展があった。すなわち、時間反転対称性をを持った任意の偶数次元のディラック演算子を考察し、その任意の次元でZ2トポロジカル不変量を定義出来ることを示した。 また、この分野の進展は大変早くて、量子ホール効果や量子スピンホール効果等のトポロジカル秩序を持つ系は、現在では超伝導体も含あて「トポロジカル絶縁体・超伝導」として、10個の普遍クラスで分類されることが示された。ここで、トポロジカル超伝導におけるゼロ・エネルギー状態がマヨラナ・フェルミオンとなり、非可換統計に従うことが予言され興味を引いている。我々は、この新しい課題に取り組み、マヨラナ・ゼロ・モードに対する指数定理を構築・証明した。
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Research Products
(4 results)