2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
氷上 忍 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093298)
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Keywords | 数理物理 / 統計力学 / 行列模型 / トポロジー / ランダム行列 / ランダムウオーク / リーマン面 |
Research Abstract |
当研究はランダム行列理論の位相的研究を進め、物性論への応用を考えるものである。ランダム行列はその階数Nにより、位相的なリーマン面のオイラー数に関係しているが、さらにランダム行列の相関関数を考えることにより、リーマン面上のスピン曲線の交点数が得られることが判明している。従ってランダム行列理論はトポロジーの研究で強力な道具となっている。物性論では、超伝導や金属・絶縁体転移など相転移の問題が重要である。特に、弱結合と強結合領域が相転移で別れている問題は大きな興味があり、その基本的理論模型となる、ユニタリ行列模型でのBrezin-Gross-Wittenn模型とその拡張を、本年度は研究した。外場があるランダム行列模型で成り立つ双対定理とレプリカ法により、Brezin-Gross-Wittenn模型が外場があるエルミート行列と同等であることを示し、また強結合展開が外場があるエルミート行列の相関関数から得られることを発見した。外場があるエルミート行列模型と外場があるユニタリ行列模型との関係を明らかにすることが出来た。この関係はさらに、高次の特異性を持つ行列模型に拡張することが出来て、興味ある相転移現象に適用出来ることが予想され、共形場理論が適応出来る量子ホール効果などいくつかの物性論の問題を考察した。
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Research Products
(2 results)