2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
氷上 忍 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30093298)
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Keywords | ランダム行列 / 超対称理論 / 行列模系 / リーマン面 |
Research Abstract |
ランダム行列理論で特性多項式間で成り立つ双対定理について研究を進めた。外場のパラメータを調節することにより特性多項式のランダム行列平均は特異点を持つ形に変形される。この特異点は状態密度の特異点としてあらわれるが、その点近傍でのn-点密度相関関数のフーリエ変換がリーマン面のn-点付きモジュライ空間のスピン曲線の交点数(intersection number)の生成関数となっていることが見いだされた。このスピン曲線はpというパラメータを持ち、p-スピン曲線と呼ばれる。pが2の場合が、古典的なランダム行列理論での端点特異性の対応し、Airy関数で固有値の相関関数が表される。pが-1の場合はPenner模型とよばれる対数型の行列模系になり、Harer-Zagierのオイラー特性類にあたる。p=-1のときのこのHarer-Zagierの結果をこの新しい方法で導出する事が出来た。さらにpが負の場合、すなわちp=-2,-3,…の場合の研究を行った。p=-2の場合は、n-点密度相関関数のフーリエ変換はユニタリ行列の弱結合と強結合展開の結果をあたえる生成関数であることが判明した。pが負の場合の解析接続はSU(2)_k/U(1)(k=p-2)をSL(2,R)/U(1)レベルk=|p+2|のWess-Zumino-Wittenにすることがわかり、AdS/CFT対応の観点から興味深い結果が得られた。またN=2超対称ミニマル模系であることから、量子ホール効果の特異性との関連を研究した。
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Research Products
(2 results)