2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
氷上 忍 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093298)
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Keywords | 数理物理 / リーマン面 / トポロジー / メゾスコピック系 / ランダム行列 / フトリックス模型 |
Research Abstract |
外場があるガウシアンランダム行列模型で、外場を調節することによりリーマン面のモジュライ空間のトポロジカル普遍量を得られることが判明し、それらが結晶成長で見られる分岐にともなう特異性と関係していることを見た。外場の行列をある値に選ぶことにより、ランダム行列の固有値分布が普遍性を持った特異性を示し、その特異性はN=2超対称共形場理論でのミニマル模型が示すものと同じであることが判明した。その特異性はさらに特異性を特徴づけるパラメーターpを用いると、SU(2)/U(1)のWess-Zumino-Witten項と等価であることが分かった。調整パラメーターpをさらに負の値(p=-1,-2,...)に解析接続することにより、レベルk(|p|=2+k)のSL(2,R)/U(1)でのWess-Zumion-Witten項と等価である事を示し、特にp=-2のときに、それがunitary matrix modelを等価である事を強結合および弱結合両方で展開を与える物である事を確認し、この模型での相転移をランダム行列理論の観点からさらに議論した。物性論でのトポロジカルな特異性との関係を研究し、ゲージ化したWess-Zumino-Witten項との関係から、広く非線形シグマ模型やCP(N-1)模型での非摂動項との関係を調べ、トポロジカル絶縁体や量子ホール効果での金属・絶縁体転移で見られる特異性との関係を研究した。 また外場があるマトリックス模型の時間依存性を詳しくしらべ、そのW代数構造の研究を行った。 時間依存の外場があるランダム行列模型が2matrix modelに帰着できることを示し、外場を調節して、Airy行列模型に対数ポテンシャルがある模型を得た。この解析により、端点近くの異なる時間の相関関数を得る事が出来た。また、種数(genus)展開により、そのトポロジカル普遍量と内蔵する代数的構造(W代数)を明らかにする事が出来た。結晶成長の分岐過程をランダム行列で考察し、珊瑚などの成長、酵母の分裂成長などの生物系への応用研究を試みた。
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Research Products
(3 results)