2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度数値スキームを用いた3次元キャビティ流れの研究
Project/Area Number |
21540383
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 克哉 名古屋大学, 情報基盤センター, 教授 (60134441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 卓 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10262495)
安達 静子 東京国際大学, 商学部, 教授 (70523009)
平野 靖 山口大学, 医学研究科, 准教授 (90324459)
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Keywords | 流体 / 計算物理 / 数理物理 / カオス / 可視化 / 流線 / 遷移 / KAM理論 |
Research Abstract |
三次元定常流の場合、レイノルズ数が高くなると、流線が島構造やカオス的構造を形成することが知られているが、これを調べるためには流動場の高精度数値シミュレーションが必要となる。流動場の高精度解析をめざす基礎を確立し、キャビティ流れにおけるカオス現象発生の解析を行うため、前年度までに開発したコードを基に、本年度は流れ方向の長さに対しスパン方向の長さが1の直方体の深さ方向の長さが異なるケースについて、レイノルズ数の変化に対するカオス発生の違いを詳しく解析した。特に、非圧縮流体の閉じた流線のまわりの流れ構造は、2周期を持つハミルトン力学系におけるKAM理論と対応することに注目し、4つの深さの場合について、レイノルズ数の変化に応じて2周期の共鳴状態が現われることを示した。その際、3:1では中心の閉じた流線が共鳴前後では安定だが、共鳴時に不安定となり、2:1の共鳴を境に不安定で、KAM理論の解析と良く一致した挙動を取ることを示した。2:1の共鳴後、流れ場の流線全体がカオス的に振る舞う。この挙動は、物理系本来のものであることも、計算法、計算格子を替えることにより確かめてある。非圧縮流の流れ場理論と高精度の数値計算結果が一致する教科書的な例として、キャビティ流の重要性を示せた。また、深さに対しては立方体内のキャビティ流の場合に、低いレイノルズ数でカオスが現われることが確かめられた。昨年のスパン長が長い場合に比べても、立方体内キャビティ流のカオス出現のレイノルズ数は小さく、その理由に対しての今後の検討が必要であろう。 2011年11月に京都で開かれたカオス50年を記念した国際理論応用力学連合のワークショップにおいて、全体的な結果の発表を行った。
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