2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早川 尚男 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (90222223)
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Keywords | 粉体 / 反発係数 / ゆらぎの定理 / ジャミング転移 / 粘性率 / 一般化久保公式 / ナノクラスター |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に完成した仕事のうち粉体系等の局所平衡も時間反転対称性が成り立たない系のゆらぎの定理に関する論文、量子系の一般化久保公式に関する論文、せん断粉体系での粘性率の発散に関する論文、非平衡定常状態でのキュムラント公式に関する論文が出版された他、今年度に入ってから投稿した負の反発係数に関する論文が出版された。また摩擦のある粒子のジャミングに関する論文の出版が決まった段階で、他に投稿中の論文が3つある。 このうち、ナノクラスターの衝突においてクラスター同士の引力によって粘着した後に回転し、互いに離れる事をシミュレーションで明らかにした後に、従来の定義に基づく反発係数が負になること、接触中の共通法線が回転することを考慮し、修正した反発係数はノーマルな値を取り続けること、原子数数千の系でありながら、それらが弾性論ベースのマクロな理論で説明可能であることを示した論文は、報告書を書いている時点では4カ国の4人の著者によって書かれた国際共同研究に基づき、PRLのeditors' suggestionに選ばれ注目を集めた。 また摩擦のある系のジャミング転移に関する論文は、転移が摩擦係数によって連続転移から不連続転移に変化し、履歴依存性が現れることを明らかにした。その一方で外挿で決めた(仮の)臨界点周りのスケーリングは摩擦がない時と変わらず平均場近似で決めた臨界指数が依然有効であることを確認した。 その他、11月に粉体系の国際会議を主宰し、6月のGordon conferenceや韓国の国際会議に招待され、国際交流を進めた。
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