2009 Fiscal Year Annual Research Report
塑性流動の新理論に向けての統計力学と流体力学のコラボレーション
Project/Area Number |
21540388
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大信田 丈志 Tottori University, 工学研究科, 助教 (50294343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 明生 日本大学, 理工学部, 准教授 (60297778)
後藤 晋 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40321616)
松本 剛 京都大学, 理学研究科, 助教 (20346076)
大槻 道夫 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30456751)
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Keywords | 塑性流動 / やわらかいガラス / 統計物理 / 乱流 / モード結合理論 / 搖動散逸関係 / 一列縦隊拡散 / ラベル変数 |
Research Abstract |
歯磨き粉やマヨネーズなどが示す、弱い外力に対しては固体となり強い外力に対しては液体となって流動する現象(塑性流動)の理論の新展開を目指し、6回に及ぶコラボレーションセミナーを実施した。素粒子論から食品工学まで幅広く講師を招いて新しい可能性について議論する一方、塑性流動は「やわらかいガラス」の特徴であり、ガラス系の統計物理という大きな枠組みのなかで考えるべき問題であることから、この分野で活発に研究されているモード結合理論(MCT)に着目し、MCT方程式の導出過程を詳細に検討した。特に、乱流における直接相互作用近似(DIA)の原型である「ある時刻に直接相互作用を切断する」という手法をほぼそのままガラス系に適用することで、MCT方程式を再導出した。ただし、ガラス系と乱流の重要な違いが、揺動散逸関係式との整合性をとる段階で現れる。乱流では、外力のランダム性は重要ではなく、決定論的な基礎方程式が非粘性切断系(ITS)と呼ばれる系を内包していて、これが熱浴の役割を果たす。ITS自体は、揺動散逸関係式との整合性に関して特異的に良い性質をもつ系であり、裏を返せば、問題の所在はITS的でない場合の扱いにある。この観点から、ITSから外れた非平衡定常系としての強制乱流や、同じく非平衡な剪断粉粒体系に対して、拡張された揺動散逸関係式を導出し、統計理論との整合性を問う研究を進めている。他方、MCTが無力となる簡単な例題として、一列縦隊拡散(SFD)の連続体理論がある。我々は、この問題ではラベル変数を用いた再定式化が有効であり、少なくとも希薄極限で正しい結果が得られることを見出した。今後この結果を有限密度あるいは高次元に拡張できれば、新理論の糸口となり得る。さらに巨視的現象論側からの手がかりとして、ペーストの加振実験やレオロジー的な考察を進めている。
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Research Products
(17 results)