2010 Fiscal Year Annual Research Report
塑性流動の新理論に向けての統計力学と流体力学のコラボレーション
Project/Area Number |
21540388
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大信田 丈志 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50294343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 明生 日本大学, 理工学部, 准教授 (60297778)
後藤 晋 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40321616)
松本 剛 京都大学, 理学研究科, 助教 (20346076)
大槻 道夫 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30456751)
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Keywords | 塑性流動 / やわらかいガラス / 統計物理 / 乱流 / ラベル変数 / 一列縦隊拡散 / 揺動応答関係 / モード結合理論 |
Research Abstract |
練り歯磨きやマヨネーズは、弱い外力に対しては固体的に応答するが、強い外力に対しては液体となって流動する。この現象(塑性流動)の理論の新展開を目指し、ペーストを用いた実験を進める一方、年度内に5回のセミナー(第7回~第11回)を実施した。総括となる6回め(第12回)のセミナーは東日本大震災で延期されたため、予算の一部を繰り越し、論文掲載報告を含めて2012年6月に研究会として開催した。 我々は第一に、密度場のゆらぎのダイナミクスをラベル変数で書き直すアイディアを検討した。このアイディアの有効性を試すため、一列縦隊拡散(SFD)すなわち1次元ブラウン粒子系に追い越し禁止相互作用を入れた系の異常拡散(遅い拡散)をこの方法で扱ってみた。現在の液体論の定石であるモード結合理論(MCT)は、この異常拡散をとらえることができない。他方、ラベル変数の方法では異常拡散が正しくとらえられ、さらに有限密度の効果や外場の効果を含めた拡張も可能であることが分かった。今後、この方法を発展させることで、MCTをラベル変数で書き直すことが可能になり、新理論への道が開けるものと期待できる。 第二に、我々は、乱流での非平衡な揺動応答関係式(FRR)について検討した。液体論のMCTは、乱流理論の直接相互作用近似(DIA)と密接な関係があり、どちらも直接の結果は相関関数と応答関数の連立方程式の形になる。ところが、乱流は非平衡系であるのに、DIAからは、平衡系と同じ形のFRR(応答関数∝相関関数)が出てくる。この結果の可否を問うため、我々は、疎結合シェルモデルを用いて乱流でのFRRを数値的に調べた。数値計算の結果は、慣性領域では比例関係が成立し、粘性領域では分布関数の非ガウス性に伴って比例関係が崩れることを示唆している。今後、さらに詳細な数値的検討をおこなう一方、乱流の非平衡FRRについて何らかの有用な関係式を導出し、MCT/DIAの改良の糸口とすることを目指す。
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Research Products
(25 results)