2011 Fiscal Year Annual Research Report
塑性流動の新理論に向けての統計力学と流体力学のコラボレーション
Project/Area Number |
21540388
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大信田 丈志 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50294343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 明生 日本大学, 理工学部, 准教授 (60297778)
後藤 晋 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40321616)
松本 剛 京都大学, 理学研究科, 助教 (20346076)
大槻 道夫 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30456751)
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Keywords | 塑性流動 / やわらかいガラス / 統計物理 / 乱流 / ラベル変数 / 一列縦隊拡散 / 揺動応答関係 / モード結合理論 |
Research Abstract |
練り歯磨きやマヨネーズなどが示す塑性流動を微視的に解明する新理論を目指し、5回のセミナー(第13回-第17回)による検討をおこなった。なお、14回目のセミナーは、震災によって延期となった第12回セミナーを兼ねる形で、日本大学での研究会として実施した。 まず我々は、今まで開発してきたラベル変数の方法を発展させ、この方法が濃密コロイド系に対する新理論につながる可能性を示した。我々の手法は、既に、斥力相互作用する1次元Brown粒子系の遅い拡散を正しく再現できることが分かっている。この方法を用いて、我々は、ある時間経過のあいだに2つの粒子がおこなう変位の相関を計算し、ここから協同運動の様子を読みとれることを示した。2粒子変位相関は4点相関の一種であり、これを通常のモード結合理論(MCT)で扱うのは極めて難しい。今回の結果は、我々の手法とMCTを融合させることによって、協同運動を捉える新手法への道が開けることを示唆している。 塑性流動の解明のためには、さらに、濃密コロイド系に剪断外力を加えた時の応答を知る必要がある。これは非平衡定常状態の問題であり、そこでは揺動応答関係(FRRあるいはFDT)が平衡系の場合と異なるという問題が、MCTの適用を困難にしている。この問題に対する解決の糸口を得るため、我々は、乱流の力学系モデルであるシェルモデルに揺動力を加えて速度相関と応答関数を計算した。計算の困難さにより、結果は未だ予備的ではあるが、応答関数が平衡系FRRに従わず、むしろHarada-Sasa関係式と整合するらしいことが示された。この数値実験や、ペーストの塑性流動における記憶効果の未破壊検出実験により、我々の新手法を塑性流動の新理論に昇華させるための基礎となる結果が得られつつある。
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Research Products
(15 results)