2010 Fiscal Year Annual Research Report
完全透過チャネルを有する乱れた量子細線系における電気伝導
Project/Area Number |
21540389
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高根 美武 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (40254388)
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Keywords | アンダーソン局在 / 完全伝導チャネル / グラフェンナノリボン |
Research Abstract |
昨年度,インコヒーレント領域における単層グラフェンナノリボン(完全伝導チャネル数=1)の平均コンダクタンスをボルツマン方程式に基づいて調べた結果,完全伝導チャネル(PCC)がデコヒーレンスに対して堅固であることが分かった.これはカーボンナノチューブにおけるPCCの振る舞いとは対照的である.デコヒーレンスに対して堅固なPCCはインコヒーレント領域における様々な電気伝導特性に大きな影響を与えると期待される.今年度は二層グラフェンナノリボン(PCC数=0~2)におけるコンダクタンスを数値シミュレーションによって調べる予定であったが,プログラムの作成が難航していることに加え,PCCに対するデコヒーレンスと云う重要且つ新しい課題が見つかったので,方針を変更し主としてデコヒーレンスの影響について検討した.手始めとしてショットノイズに注目し,完全伝導チャネルの影響について検討した.その結果,通常の量子細線において知られている「ショットノイズの1/3抑制」等の普遍則からは大きく逸脱し,極めて特異な振る舞いを示すことを明らかにした.この成果は査読付き論文として発表済みである.また,平均コンダクタンスの振る舞いとコヒーレンス長の関係を明らかにするため,平均コンダクタンスのリボン長依存性を,デコヒーレンスの効果を取り込んだ数値シミュレーションによって調べている.予備的な結果ながら,コヒーレンス長が非常に短い場合においてもPCCの存在を確認することができた.この数値シミュレーションにより,コヒーレント領域からインコヒーレント領域に渡るコンダクタンスの振る舞いを明らかにできるものと期待している.
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Research Products
(3 results)