2009 Fiscal Year Annual Research Report
渦の3次元非線形不安定性理論のためのラグランジュ的流体力学の構築
Project/Area Number |
21540390
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福本 康秀 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 教授 (30192727)
|
Keywords | 楕円型不安定性 / 弱非線形安定性 / ラグランジュ的記述 / 波・平均流相互作用 / 振幅方程式 / ハミルトン的標準形 / WKB法 / 速い歳差回転 |
Research Abstract |
ひずみ流中の渦管の線形不安定性は,ハミルトン力学系のKrein理論の観点からは,エネルギーの符号が異なる,あるいは,両方ともエネルギーがゼロの2個のKelvin波同士のパラメータ共鳴として記述できる.この楕円型不安定性の弱非線形発展を調べた.一般の軸対称渦度分布をもつ渦管の上に立つKelvin波のエネルギーを1次のラグランジュ変位のみで表現することに成功し,それが分散関係の微分で与えられることを証明した.連続スペクトルの特異モードに対しても,エネルギーと一般化された分散関係の微分を対応づけることができた.副産物として,回転方向と軸方向に関して,Kelvin波の自己非線形相互作用によって誘導される振幅について2次の平均流が得られ,これらを擬運動量として特徴づけた.この平均流を用いると,3次まで振幅方程式がハミルトン的標準形の形に直接導かれ,その係数をすべて決定した.その結果,従来のオイラー的記述の枠組みで得られた振幅方程式が不完全であることを明らかにした. 空間座標に線形的な流れの3次元短波長撹乱に対する安定性を調べるのに適したWKB法を用いて,回転軸自身がそれに垂直な軸まわりに回転する2つの歳差回転流(Mahalov流とKerswe11流)に対して,コリオリカと線形ずり流が剛体回転流の線形安定性におよぼす影響を数値計算と漸近理論の両面から調べ,歳差周波数が極めて大きい領域での状況を初めて明らかにした.Mahalov流では,歳差回転角速度無限大の極限で増幅率は剛体回転流の角速度に漸近する.同じ歳差周波数で比べると,Kerswe11流の方が増幅率は大きい.Kerswe11流に対して,歳差周波数が無限大の極限で,増幅率が撹乱波数に含まれるパラメータについて特異的に振る舞う新しいタイプの不安定性を発見した.
|
Research Products
(16 results)