2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹枝状形態における横枝群の形成機構と統計力学的性質の解明
Project/Area Number |
21540392
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本庄 春雄 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (00181545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂木 洋光 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30346853)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 / 非平衡・開放系 / 形態形成 / 結晶成長 |
Research Abstract |
拡散場中で成長する樹枝状形態がフラクタル性を示すことは以前から知られていたが、以下に詳述するように、今年度は樹枝状形態の研究では初めて横枝群がマルチフラクタル性を示すことを明らかにした。 マルチフラクタル性を調べる場合、サポートをどのように規定し、そのサポート上の確率測度としてどういう物理量を選択するかを決める必要がある。我々は、(1)樹枝状形態の界面をサポートとし、その上に垂直方向の成長速度を確率測度とした場合、また、主幹をサポートとしてそれから発生した、(2)各横枝の面積、(3)各横枝の周長、(4)各横枝の垂直方向の成長速度を、確率測度とした場合について、マルチフラクタル性を調べた。この場合、樹枝状形態としては過飽和のNH_4Cl水溶液から成長する形態を使用し、(2)と(3)に関しては、画像解析からその測度を求め、(1)と(4)に関しては、その樹枝状形態を境界条件としてラプラス場に置き、数値計算から界面の垂直方向の速度を求めた。本来、(1)と(4)に関しても画像解析から求めるべきであろうが、成長速度が非常に遅い界面に対しては、充分な分解能をもった成長速度を得るのは困難であるため採用した方法である。(1)では各界面の異方性を考慮した曲率(スティフネス)を導入している。また、拡散律速凝集体(DLA)のマルチフラクタル性は良く知られているが、この性質は(1)の場合に相当し、(2)から(4)までの性質は樹枝状形態に特有な性質である。 (1)では情報次元が1でDLAと等しく(もちろん、最大値は1.5でDLAとは異なる)、(2)から(4)までは最大値は主幹の次元である1に等しい。(2)と(3)に関しては、二項分岐過程モデルの対応が考えられる。これらの結果は現在、論文として投稿中である。 また、DLAはある種の写像関数を用いて表現できるが、樹枝状形態の場合は異方性があるため簡単ではない。そこで、この写像関数に異方性を導入し、出来る2次元形態がフラクタル次元がほぼ1.5の樹枝状形態になることを初めて示した。
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