2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540393
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 Oita University, 工学部, 教授 (00228058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折原 宏 北海道大学, 工学・研究科, 教授 (30177307)
羅 亮皓 北海道大学, 工学・研究科, 助教 (00421991)
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Keywords | 液晶 / 散逸構造 / トポロジカル欠陥 / レオロジー / パターン形成 |
Research Abstract |
負の誘電異方性を持つネマチック液晶に電圧を印加すると,ある条件で対流が発生し,電圧の増加とともに複雑な対流構造へと逐次変化していく。高電圧化では,液晶対流にはトポロジカル欠陥の一種であるdisclinationが多数現れる。この液晶電気対流は,非平衡系における散逸構造の一種であり,実験的に制御しやすいことから散逸構造の研究対象として注目されている。本研究では,液晶対流(散逸構造)およびトポロジカル欠陥がマクロな粘性率に及ぼす影響を解明することを目的としている。 まず始めに,通常の粘度計を電場を印加しながら粘度が測定できるように改造した。そして,誘電異方性が負の液晶MBBA(p-methoxybenzilidene-p-n-butylaniline)に対して,平行平板センサーを用いて電場下での粘度測定を行った。 MBBAにおいては,印加電圧増加に伴い粘度は増加し,その後減少をする結果が得られた。粘度の最大電圧は,勇断速度が速いほど高い結果となった。粘度上昇時は動的散乱モードと呼ばれる乱流が出現し,液晶配向が乱されていると観測できる。乱流が激しい高電圧化で粘度が減少することは予想していなかった結果であるが,非常に興味深い発見であった。剪断速度を固定し,印加電圧の周波数を増加させて粘度の電圧依存性を調べた結果,周波数が高いほど最大粘度が現れる電圧が高くなった。また,液晶対流が起きないような高周波では,粘度の電圧変化は起こらないことがわかった。さらに,MBBAが液晶性を示さない500℃においては,電場印加による粘性変化は観測されなかった。従って,粘度上昇には液晶対流が関係していることが推測できる。
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