2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540393
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折原 宏 北海道大学, 工学研究科, 教授 (30177307)
羅 亮皓 北海道大学, 工学研究科, 助教 (00421991)
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Keywords | 液晶 / 散逸構造 / トポロジカル欠陥 / レオロジー / パターン形成 |
Research Abstract |
負の誘電異方性を持つネマチック液晶に電圧を印加すると,ある電圧で対流が発生し,電圧の増加とともに複雑な対流構造へと逐次変化していく。高電圧下では,液晶対流にはトポロジカル欠陥の一種であるdisclinationが多数現れる。本研究では,液晶対流(散逸構造)およびトポロジカル欠陥がマクロな粘性に及ぼす影響を解明することを目的としている。前年度の研究で,MBBA液晶では,60Hz,300Hzなどの低周波数電圧に対しては,印加電圧増加に伴い粘度は増加し,その後減少するという興味深い結果が得られた。また,液晶対流が起きない高周波電圧および50℃以上の等温相では,粘度の電圧変化は起こらないことがわかった。そこで,粘度計を改造し,センサー部分を透明電極付きのガラスで作成し,さらにファイバー照明とビデオスコープを取り付けて粘性変化と液晶組織の関係を調べたところ,粘性変化は液晶対流と密接に関連することがわかった。高電圧下ではdisclinationが多数発生して複雑な乱流になって透過光強度が減少する。粘性が最大となる電圧付近で透過光強度の変化を調べたが,透過光強度は単調に減少するだけで特徴的な変化はなかった。また,液晶電気対流の平均構造を調べるために,観測画像の2次元自己相関関数を計算し,特徴的な長さの電圧変化を調べた。粘性最大電圧付近で特徴的な変化は観測されなかったが,本来等方的な乱流である動的散乱モードIIが剪断によって引き延ばされて異方的になることがわかった。この結果を,平成22年3月末の物理学会で報告する予定であったが,東日本大震災のために学会が中止になったため,予算を繰り越して平成22年9月の物理学会で報告した。
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Research Products
(4 results)