2010 Fiscal Year Annual Research Report
動的障壁と量子局在:混合位相空間をもつハミルトン系における動力学理論
Project/Area Number |
21540394
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
首藤 啓 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (60206258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 篤司 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 助教 (20323264)
|
Keywords | 量子カオス / 古典カオス / 混合位相空間 / 動的トンネル効果 / 完全WKB解析 / ストークス幾何 / 非断熱遷移 / ハミルトン系 |
Research Abstract |
1.混合位相空間をもつ開放量子系におけるワイル則 離散エネルギー固有値をもつ束縛量子系の累積エネルギー状態密度は,エネルギーの大きい漸近的極限で対応する古典位相空間の体積に比例することが知られている(ワイル則).一方,近年,開放量子系の共鳴固有エネルギーに類似の法則が存在すること,とくに,対応する古典系が理想的に強いカオスを示す場合に対して,共鳴固有エネルギー虚部の増大則が古典系の不変集合のハウスドルフ極限と関係のあることが明らかになってきた(フラクタルワイル則).ここでは,古典系の位相空間が混合的な場合,対応する開放量子系の共鳴固有エネルギー虚部がいかなる増大則に従うかについて議論した.とくに,混合位相空間を持つ系の特徴である遅い緩和機構が共鳴固有エネルギーの統計則にいかに反映されるか,という観点から新たな作業仮説を設け,その妥当性を単純な位相空間をもつ(規則領域とカオス領域とが明確に分解されている)写像系に対して確認した. 2.動的トンネル効果におけるトンネル確率の定義可能性 規則領域とカオス領域とが混在する位相空間中で起こるいわゆる「カオス的トンネル効果」は,従来の1次元のトンネル効果とその背後にある動力学機構を異にするため,トンネル確率を定義することは自明ではない,ここでは,単純な位相空間をもつ系を用いて,疑義のないトンネル確率の定義可能性についてさまざまな方向からの吟味をおこなった. 3.エノン写像馬蹄極限のストークス幾何学 複素WKB法は「カオス的トンネル効果」の最も有効な解析手段であるが,その根幹にあるストークス現象はいまだ十分な理解に至っているとは言い難い.ここでは,エノン写像の量子プロパゲータに対するストークス幾何学を調べ、系が馬蹄型条件を満たす場合についてのストークス幾何学の完全な解析に成功した。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Flooding of tunneling flux in the Kepler map2011
Author(s)
Y.Hanada, K.S.Ikeda, A.Shudo
Organizer
International Symposium on Nano Science and Functional Materials : Post-symposium of International Symposium on Catalysis and Fine Chemicals 2011
Place of Presentation
Tokyo Metropolitan Univ.
Year and Date
2011-12-01
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-