2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540396
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60125515)
|
Keywords | 画像処理 / 領域分割 / Mumford-Shahモデル / モンテカルロ法 / グラフカット法 / レベルセット法 / XYモデル / KT転移 |
Research Abstract |
本研究では、新しいモンテカルロアルゴリズムを用いて、これまで困難とされてきたランダム系、フラストレート系、非平衡定常状態転移などの問題に取組むと共に、さらに有効なモンテカルロアルゴリズムを開発する。また、同時に画像処理の問題への展開をはかる。本年度の主な研究成果を示す。 1.モンテカルロ法の画像処理問題への応用Mumford-Shahエネルギー汎関数による画像領域分割問題について、モンテカルロ法により低エネルギー解を安定して探索する方法を公表した。さらに、グラフカット法、レベルセット法との比較を行った。レベルセット法は、画像領域分割問題の解法として先駆的な方法であったが、その後進展したグラフカット法と比べると計算時間がかかる。グラフカット法は2値分割の場合には厳密で計算時間も短いが、多値分割の場合には、ブロックスピン変換などの工夫をこらしたモンテカルロ法が、計算時間の面でグラフカット法と同程度となる。さらに、モンテカルロ法は、初期状態の選択によらず安定した解が得られる利点があることを示した。 2.一般化XYモデルの相転移2002年に提唱された一般化XYモデルの問題をとりあげた。2次元XYモデルは準長距離秩序を示すKosterlitz-Thouless (KT)転移を起こすが、一般化モデルの相転移について、ハイブリッドモンテカルロ法とエネルギー状態密度を直接測定するWang-Landau法を用い、精密に調べた。一般化パラメータqの値によらずKT転移を示すこと、さらに転移温度によらない有限サイズスケーリング解析を行い、KT転移のユニバーサリティーを示し、公表した。すると、qが大きい場合に1次転移となることを厳密に示したとのコメントが寄せられたが、それに対し、その証明はqが無限大の取り扱いによるものであるとの返答を行い、さらなる研究を進めている。
|
Research Products
(4 results)