2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21540396
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60125515)
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Keywords | 画像処理 / 領域分割 / Mumford-Shahモデル / グラフカット法 / モンテカルロ法 / クラスターフリップ / GPU / 並列計算 |
Research Abstract |
本研究では、新しいモンテカルロアルゴリズムを用いて、これまで困難とされてきたランダム系、フラストレート系、非平衡定常状態転移などの問題に取組むと共に、さらに有効なモンテカルロアルゴリズムを開発する。また、同時に画像処理の問題への展開をはかる。今年度の主な研究成果を示す。 1.モンテカルロ法の画像処理問題への応用Mumford-Shahエネルギー汎関数による画像領域分割問題について、モンテカルロ法により低エネルギー解を安定して探索する方法を公表した。さらに、グラフカット法との比較を行った。多値分割の場合、グラフカット法は、初期条件をうまく選べば、大域的なエネルギー最小値に収束するが、一般的にはよい初期条件を探すのが容易ではない。今年度、モンテカルロ法とグラフカット法を組み合わせたハイブリッド法を提案した。すなわち、モンテカルロ法により求めた解をグラフカット法の初期条件として用いる方法で、画像によらず、計算時間も短く、大域的な最小値に近づくことを示した。 2.モンテカルロ法のGPUによる計算の高速化近年、graphic processing unit(GPU)を高速計算に応用することが試みられ、モンテカルロ法への適用もなされるようになった。クラスターフリップアルゴリズムのモンテカルロ法の場合には、これまでGPUによる並列計算は難しいとされてきた。我々は、クラスターラベリングの効率よい並列化計算を実現することに成功し、スピン系のSwendsen-Wangタイプのクラスターアルゴリズムの計算をGPU上で実装すること、また、2次元イジングモデルの場合に、計算速度がCPUによる計算の12.4倍が得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像領域分割に関して、新しいハイブリッド法の有効性を示すことができたが、論文の公表まで至っていない。一方、GPUを用いたクラスターモンテカルロ法の高速計算に成功し、既に2編の論文を出版し、さらに次の論文を投稿するなど、予想以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究の最終年度にあたるので、画像領域分割のハイブリッド法の論文公表、さらにその展開をはかると共に、GPUを用いた高速計算を広い分野に広げていく。
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