2013 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムな曲線やパターンの集団に対する統計力学の構築とその応用
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21540397
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
香取 眞理 中央大学, 理工学部, 教授 (60202016)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非平衡統計力学 / 確率過程 / 数理物理学 / ランダム行列 / ランダムパターン |
Research Abstract |
ランダム行列理論と関係する非衝突拡散過程の典型例である非衝突ブラウン運動に対して、昨年度「複素ブラウン運動表示」を得ることができた。これにより、多重直交関数の複雑な計算を経由することなく、行列式構造を一般の初期配置に対して導くことが可能となった。しかし、非衝突拡散過程の別の例である非衝突ベッセル過程は同様の複素ブラウン運動表示を一般には持たない。この非衝突ベッセル過程を含む、より広いクラスの非衝突拡散過程に対して、複素ブラウン運動表示を拡張することを研究課題とした。その結果、「行列式マルチンゲール表示」という概念に到達した。複素ブラウン運動表示は、複素ブラウン運動が共形マルチンゲールであるという理由からこの行列式マルチンゲールの一例にはなっているが、一般には複素ブラウン運動表示を持たない系でも行列式マルチンゲール表示を持つことが出来る。課題であった非衝突ベッセル過程は一般には複素ブラウン運動表示を持たないが、行列式マルチンゲール表示が定義でき、一般にこの表示を持つことを証明することができた。一般論として、相互作用する粒子系が行列式マルチンゲール表示を持てば行列式過程であるということを証明した。行列式過程においては任意の時空相関関数が行列式で与えられ、それらの行列式は「相関核」とよばれる唯一の積分核で特定される。我々は一般に、この相関核が行列式マルチンゲールの成分である連続マルチンゲールを用いて与えられることを証明した。この一般論に基づき、非衝突ブラウン運動と非衝突ベッセル過程の行列式構造を統一的に定式化するとともに、円周上の非衝突ブラウン運動を表す三角関数拡張されたダイソン模型や離散時空における粒子系モデルに対しても理論を展開することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)