2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハミルトン系カオスの多重エルゴード運動と無限測度エルゴード系の大偏差特性の決定
Project/Area Number |
21540399
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
相澤 洋二 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70088855)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 |
Research Abstract |
複雑な相空間をもつハミルトン系のエルゴード特性(多重エルゴード性)を無限測度エルゴード理論との対比から解明することを本研究では目指している。本年度の計画にそって、主にカオス特性量であるリャプノフ指数や相関関数の大偏差特性に挑戦し、SRB不変測度に由来する極限定理の詳細について次のような結果を得ることができた。 (1)無限測度系における相関関数がDKA定理に従うことを示し、それがsubexponential減衰を示すこと、ならびに相関関数の相関が1/fスペクトルゆらぎを普遍的にもつことを理論的に導出した。また、理論的にはまだ完成していないが、定常域から非定常域への転移に伴って相関関数(リャプノブ数と同様に)の分布がLevyからMittag-Leffler分布に移行することを数値的に確認できた。(2)一様測度を実現するように強間欠性カオス(無限エルゴード系)をハミルトン化した写像系に対しては、非定常域は一般に失われ非ガウス特性が代りに出現し、リャプノフ指数のようなL1関数がLevy分布に従うこと、及びその極限分布のスケール則を理論的に決定できた。しかし、これらの結果は1次元特有の性質であることが予想されるので、来年度以降は2次元系への研究へ進む計画である。(3)2次元以上のハミルトン系に対しては、今のところ理論的に明確な結論に至っていないが、リャプノブ数の数値計算によって、2次元系ではLevy分布、4次元系ではMittag-Leffler分布を確認しており、一般の高次元でのArnold拡散と関連が指摘されているLogワイブル分布との関連を来年度以降理論化する基礎が見出されたとおもっている。 以上、理論及び数値計算ともに、計画は概ね順調に進んでいる。
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Research Products
(16 results)