2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540400
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
水島 二郎 同志社大学, 理工学部, 教授 (70102027)
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Keywords | 円柱を過ぎる流れ / 急拡大管流れ / 流れの安定性 / 振動源 / パターンの発現 / 解の分岐 / 乱流への遷移 / ホップ分岐 |
Research Abstract |
本研究の研究課題は定常流が不安定となって振動流へと遷移する物理機構、特に振動源とパターン発現の物理機構を明らかにし、その条件を求めることである。平成22年度では主に、円柱を過ぎる流れにおいてカルマン渦列が生じる物理的機構を見つけるため、物体直後にパルス型撹乱を与え、下流へ伝播する波束型撹乱を観察した。この研究では、これまで用いられてきた対流不安定と絶対不安定の概念を拡張し、パッシブモード不安定性とアクティブモード不安定性の概念を提案し、これらの定義に従って撹乱の成長を調べることにより、流れの全体不安定性とアクティブモード不安定性の関係を明らかにするとともにカルマン渦列が継続して生成されるための振動源を特定した。また、流れがパッシブモード不安定からアクティブモード不安定性(絶対不安定)に遷移する条件は波束のテイルの群速度が0となることであることを見いだした。この研究成果を日本流体力学会、京都大学数理解析研究所共同利用研究集会「非線形波動現象の多様性と普遍性」等で発表し、論文としてPhysical ReviewEに公表した。別の例として、いくつかの急拡大部をもつ管路流れについて、数値シミュレーションと線形安定性解析を行い、流れがパッシブモード不安定からアクティブモード不安定性に遷移する機構とその条件を調べた。特に、申請者たちが一昨年度に発見した早く伝わる波と遅い波の双方について数値シミュレーションの結果を精査し、その成長率と伝播速度を評価し、この管路流れの全体不安定性解析の結果と比較した。その結果、この流れにおいても、流れがパッシブモード不安定からアクティブモード不安定性に遷移する条件は、波束の尾部(テイル)の群速度が0であることがわかった。また、周期的急拡大管において下流の急拡大部における流れほど振動流へ遷移しやすい現象の物理的な理由は上流における対流不安定撹乱の影響であることを明らかにした。
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Research Products
(13 results)