2009 Fiscal Year Annual Research Report
アダプティブ結合を持つ能動要素ネットワークの自己組織化-デザインと制御
Project/Area Number |
21540403
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮川 賢治 Fukuoka University, 理学部, 教授 (30037296)
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Keywords | 自己組織化 / 確率共鳴 / BZ反応 / 非平衡 |
Research Abstract |
約400μm径のマクロゲルに、自己触媒反応の光感受性触媒ルテニウム錯体を組み込み、興奮性の能動要素を作成した。これをベースに、間隔100μmの10×10正方格子アレイを作製し、遅延フィードバックを用いて、ノイズによって誘起される集団ダイナミクスの制御を試みた。発火の周期性の度合いRと要素間同期の度合いγを指標にして、時間的・空間的コヒーレンスの遅延時間τ依存性を調べたところ、Rとγは、τに対して周期的に変化することが分かった。最初のピークの位置は反応の不応期時間t_rと一致し、ピーク間隔は反応の周期T_pに一致した。それ故、n番目のピーク位置τ_nは、τ_n=t_r+(n-1)T_pで与えられる。またRを最大にするD_<max>の下でフィードバック利得kを大きくしていくと、閾値より大きいkでコヒーレンス共鳴や位相同期が促進されることが分かった。特に、遅延時間τがt_rに等しいとき、その効果は更に顕著になった。逆に、τがt_rから大きく異なるとき、時空コヒーレンスは大きく下がった。これらの結果は、遅延時間と利得によって集団ダイナミクスのコヒーレンスを自在に制御できることを示している。このような現象に伴って、ノイズで誘起された振動の固有周期がフィードバックの遅延時間に応じて変化することが明らかになった。これは、外力による振動子の引き込み現象、即ち古典的な外部同期を思わせる現象である。更に、揺らぎとフィードバックの効果を考慮したオレゴネーターモデルを用いて数値シミュレーションを行い、実験をうまく再現することができた。
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