2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540405
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
蕪木 英雄 Japan Atomic Energy Agency, システム計算科学センター, 研究主席 (10360413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君塚 肇 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60467511)
木暮 嘉明 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (20016124)
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Keywords | 熱伝導 / 非平衡物理 / 非線形物理 / 粒子法 / シミュレーション |
Research Abstract |
3次元固体の熱伝導機構を解明するため固体アルゴン(レナード・ジョーンズ(LJ)系)の長時間平衡分子動力学シミュレーションを実施し、熱流束の時間相関関数を評価した。分子動力学法では原子数4000個、10^8ステップの長時間シミュレーションを成功させ、熱流束の長時間自己相関関数のスペクトル解析を行った。分子動力学法では、従来計算時間が限定されるため長時間の相関をとることが困難であり、比較的高周波数領域の格子振動は明らかになってきたが、これか低周波領域のフォノン振動へどの様に接続されていくかは必ずしも明確にはなっていない。そこで10^8-10^<12>Hz領域に着目して熱流束自己相関関数のスペクトル解析を実施した結果、大体10^<10>Hz以下で一定めスペクトルになる傾向が得られた。この領域はランダムに振動するフォノン振動に対応するものと考えられる。固体の熱抵抗機構へ影響を及ぼすこの様な乱雑フォノン領域への移行状態を調べるため、スペクトルの温度依存性(T=10,30,70,90K)を調べた。その結果、液体状態である90K及び融点直下である70Kのケースでは、上記周波数領域でほぼ一定のスペクトルをもつことが明らかになったが、温度を上昇するに従い周波数依存性を持つことが明らかになった。特に10Kの低温ケースでは、10^<10>Hzより高周波側でスペクトルはほぼ周波数の2乗に逆比例していることが明らかになった。このように熱伝導現象を粒子描像により見ることにより、固体の熱伝導率の予測において従来から用いられているフナノンボルツマン方程式に基づく手法の限界及びを妥当性を調べることを目的としている。粒子法による手法では、更にパルス法に基づく熱伝導解析を検討する。
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