2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子絡み合いにおける統計的普遍性の解明と量子推定・量子制御への応用
Project/Area Number |
21540413
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
窪谷 浩人 Kanagawa University, 工学部, 教授 (60281143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 幹人 奈良女子大学, 理学部, 准教授 (70197896)
足立 聡 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90211698)
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Keywords | 量子情報 / 量子コンピュータ / 量子絡み合い / ランダム行列 / 多変数超幾何関数 |
Research Abstract |
以下2点から研究を実施した。 1.量子絡み合いの動的形成のシミュレーション解析 量子動力学がよく調べられているKicked Topを2つ結合させた系をモデルとして量子絡み合いの動的形成の解析を行った。量子状態|Φ>_<12>ΣA_<ij>(t)|i>[○!×]|j>の動力学は、行列A_<ij>(t)の時間発展と見なすことができ、量子絡み合いの動的形成は、行列A_<ij>(t)のSchmidt固有値d_i(t)の時間発展として観測される。そこで、d_i(t)の時間サンプリングの統計的性質をランダム行列のものと比較した。現在1体分布関数の精密な比較を行い、ランダム行列の示す統計的普遍性を量子結合系が持つための必要条件を示しつつある。この結果は、量子カオス性とは何かという問いに対し量子絡み合いの動的形成の観点から定量的な指標を提供できることを示している。 2.ランダム行列理論の構築 行列A_<ij>の数理的モデルとしてのランダム行列理論を構築している。Selberg-Kaneko積分の被積分関数を拡張し、Schmidt固有値d_i(t)の1体分布関数を解析的に得た。さらに、その積分の満たすべき微分方程式系を得た。これにより、微分方程式系の性質から分布関数の性質を調べることを可能とした。この新しく開発されたランダム行列の解析方法は、Vandermonde行列式を直交多項式で表現し積分を実行する従来の方法に替わるものとして期待される。
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