2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540419
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉森 明 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90260588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 良 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (60363347)
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Keywords | 化学物理 / 統計力学 / 物性理論 / 生体分子 / 拡散 / 共溶媒 / ハイパーモバイル水 / 回転緩和 |
Research Abstract |
1.溶媒粒子の分布の効果を考慮して、拡散係数を計算するこれまで開発した理論を、2成分系に拡張した。2成分の流体力学方程式を考え、特に重心の流れと拡散流が結合しないモデルを出発点に散逸項を構成した。保存項は溶質の影響をあらわに取り入れる微視的な理論を使い、それらを組み合わせた基礎方程式を溶質・溶媒の大きさの比で摂動展開した。その結果、通常の流体力学方程式に溶媒の分布の効果が溶質の表面の境界条件に含まれる新しい理論の構築に成功した。この理論を2成分剛体球液体に応用すると、大きさが2倍の粒子をモル分率0,03溶かしただけで、粘度が一定であっても、拡散係数が半分になることが明らかになった。 2.北海道大学の鈴木とその共同研究者が発見した、アクチン繊維やハロゲンイオンのまわりの回転緩和の速い水(ハイパーモバイル水)の物理的機構を明らかにするために、電荷を持った溶質の周りの溶媒の回転緩和を古典液体の動的密度汎関数理論により計算した。その結果 (1)動的密度汎関数理論において、これまでの研究で溶媒の平均的な密度として扱っていた所を、溶質まわりの溶媒の数密度で置き換える近似を使い、新しい理論を構築した。この近似のずれは、回転の自由度を含む密度場を回転不変関数で展開した時の高次の項にしか効かないことを明らかにした。 (2)新しい理論をイオン・双極子系に応用し、回転緩和の空間分布を計算した。並進拡散の大きさを変えると空間分布が大きく変わることが明らかになった。
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Research Products
(10 results)