2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540420
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
好村 滋行 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90234715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 修治 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40401781)
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Keywords | ラメラ相 / スメクチック相 / レオロジー / 欠陥 / ソフトマタ / 液晶 |
Research Abstract |
ソフトマターとは高分子、液晶、両親媒性分子、コロイド、エマルション、生体物質、ガラス、粉流体などの物質群に対する総称である。ソフトマターの最も顕著な性質は、そのレオロジー特性(物質の変形と流動に関する性質)に表れる。ところが、ソフトマターのメソ構造が関与するレオロジーを記述する統一的な理論は、ごく一部の研究例を除いて、物性物理学として未だに存在しない。そのため、本研究では最も単純なメソスコピック構造として、一次元的なラメラ構造(リオトロピック系)またはスメクチック構造(サーモトロピック系)に着目し、そこに生じる転位などの欠陥構造の生成、消滅、運動に着目した理論を構築し、さらに理論的予測を実験的に検証した。平成21年度には実験的研究を中心に行い、サーモトロピック液晶である8CBを用いて、特にスメクチック・ネマチック転移点近傍でのレオロジー挙動を詳細に調べた。様々な温度に対して流動曲線(ずり速度とずり応力の関係)を測定したところ、典型的には(i)降伏応力を示す領域、(ii)べき乗則を示す領域、(iii)ニュートニアン領域の三つの領域が存在することがわかった。特に降伏応力は転移点に近づくにつれて消失する傾向が見られた。(i)の領域での降伏応力は、フォーカルコニック・ドメインが担っていると考えると、測定結果はドメインサイズの増大と対応させて理解することができる。これは、スメクチック相における欠陥の非束縛転移と関係していると考えられる。また、(ii)と(iii)の結果から、転移点近傍での動的相図を作成し、流動によってスメクチック・ネマチック転移が誘起されることを見出した。
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