2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540420
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
好村 滋行 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90234715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 修治 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40401781)
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Keywords | ラメラ相 / スメクチック相 / レオロジー / 欠陥 / ソフトマター / 液晶 |
Research Abstract |
ソフトマターとは高分子、液晶、両親媒性分子、コロイド、エマルション、生体物質、ガラス、粉流体などの物質群に対する総称である。ソフトマターの最も顕著な性質は、そのレオロジー特性(物質の変形と流動に関する性質)に表れる。ところが、ソフトマターのメソ構造が関与するレオロジーを記述する統一的な理論は、ごく一部の研究例を除いて、物性物理学として未だに存在しない。そのため、本研究では最も単純なメソスコピック構造として、一次元的なラメラ構造(リオトロピック系)またはスメクチック構造(サーモトロピック系)に着目し、そこに生じる転位などの欠陥構造の生成、消滅、運動に着目した理論を構築し、さらに理論的予測を実験的に検証した。前年度に開始した非線型レオロジーに関しては、熱平衡状態における転位ループの増大に加えて、ずり流動が引き起こす非平衡な転位ループ密度の増加により、ずり流動誘起スメクチック・ネマチック転移が誘起されることがわかった。平成22年度には主にスメクチック相の線形粘弾性について理論的および実験的に検討した。ずり応力印加後に測定した動的貯蔵弾性率と損失弾性率の周波数依存性を調べたところ、すべての温度において、測定した周波数範囲では常に前者が後者よりも大きく、低周波数域ではプラトー領域が見られた。各温度におけるプラトー値のずり応力依存性をみると、ずり応力が増加するにつれて貯蔵弾性率も増加した。これらと顕微鏡観察の結果から、スメクチック相の弾性を支配するのはフォーカルコニックドメインとしての欠陥構造であり、層の配向転移によって欠陥構造が消失すると弾性も消失することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)