2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540421
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
真庭 豊 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (70173937)
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Keywords | 水 / カーボンナノチューブ / アイスナノチューブ / 誘電体 / 分子動力学計算 / ナノ構造 |
Research Abstract |
水は、ありふれた物質であるが、沸点が高い、4℃で密度が最大になる、比熱が大きいなどの多数の異常な性質を示す。水はまた、生体内、岩石、地殻、ツンドラ地帯の土壌中にも存在し、その性質に重要である。惑星や彗星等、宇宙空間にも水は存在する。これらの水の一部は極微小の制限空間内に存在する。本研究では、小さな空間に閉じ込められた水の性質、特に、分子2、3個程度の原子・分子スケールからバルク水につながる、水の性質の空間サイズ依存性を明らかにすることが目的である。 本研究では、直径が1~3ナノメートルのカーボンナノチューブ(CNT)を用いて、その疎水的ナノ空洞内への水の吸着と相転移挙動を、X線回折、核磁気共鳴、分子動力学計算などの手法を用いて調べている。これまでの研究から、直径が1.1~1.4mmのCNTの空洞内部に水は容易に吸着され、吸着された水は低温で液体-固体様の相転移挙動を示し、低温相がアイスナノチューブ(ice NT)となること、さらにice NTの融点がCNTの直径が大きくなるほど低下すること、などが明らかになっている。一方、~1.5nm以上のCNT内部の水は、CNT直径に反比例するような、相転移様挙動を示し、原子・分子領域から、バルク領域へのクロスオーバー現象を示唆した。本年度は、(1)このクロスオーバー領域において、水の構造を分子動力学計算とX線回折実験により詳細に調べ、CNTの有限長効果を明らかにした。CNT端の存在のため、内包水分子数に依存して異なる水の構造が現れることが分かった。また、(2)太いCNTでは、低温でwet-dry転移を示すことが明らかになった。その起源としては、CNT内部での水の液体一固体相転移と関連していることが示唆された。
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[Journal Article] Global phase diagram of water confined on a nanometer scale2010
Author(s)
H.Kyakuno, K.Matsuda, H.Yahiro, T.Fukuoka, Y.Miyata, K.Yanagi, Y Maniwa, H.Kataura, T.Saito, M.Yumura, S.Iijima
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Journal Title
J.Phys.Soc.Jpn.
Volume: 79
Pages: 083802(1-4)
Peer Reviewed
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