2011 Fiscal Year Annual Research Report
地殻の微細不均質性の新しいイメージング法および物性量の推定法の開発とその応用
Project/Area Number |
21540425
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蓬田 清 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70230844)
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Keywords | 微細不均質性 / 高周波地震波 / 散乱理論 / 数値実験 / イメージング |
Research Abstract |
高周波地震散乱波の周波数依存性やP/S変換波の特性を用いて、微細不均質性のサイズや流体の有無を推定したが、これに加えて、観測データのアレイ処理から求められるスペクトログラムの形状と大きさからより詳細な散乱隊の物性量の推定が可能であることが示された。形状は散乱体の速度の大小を選別し、大きさは一つの散乱体内部の階層性のレベルに対応することが初めて示されたことは重要である。 また、従来の波線理論によるイメージング手法から、最近の物理探査領域で再評価されているガウンシアンビーム法を適用し、観測点がまばらな現実的な場合でもより安定して散乱体の空間分布を推定できる手法を提案した。特に、アレイ観測によるf-kスペクトルでの散乱波成分の広がりを初期条件として用いることで、観測データの質が自然に重みとして考慮されるイメージングとなり、これは他の研究分野でも全く考慮されてこなかった独創的な手法である。 なお、本年度開始直前に東北地方太平洋沖地震が発生し、これに関係した研究に緊急に従事する必要を迫られた。海域での地震であったため、現在の状況では高周波の散乱波の解析に適するデータは見いだせないが、これまでの研究成果を応用し、高周波地震波の励起の視点から沈み込み帯における超巨大地震の重要な特徴をこの地震から見出しました。また、強震動加速度波形記録の特徴を利用して、散乱波と同じ手法で高周波地震波の励起源の位置の同定だけでなく、その周波数依存性の定量化を行った。このように、本研究で進めてきた手法は、微細不均質構造だけでなく、高周波地震波の励起の研究にも幅広く応用できることが示された。
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Research Products
(11 results)