2010 Fiscal Year Annual Research Report
不均質構造による散乱と短周期地震波エンベロープの研究
Project/Area Number |
21540426
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 春夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80225987)
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Keywords | 地震波 / 不均質構造 / 散乱 / 島弧 / 地殼 / リソスフェア / マントル / 波動 |
Research Abstract |
本研究は,固体地球の不均質構造における地震波動伝播の数理的モデルの構築と,観測される短周期地震波エンベロープの解析に基づく不均質構造の解明を目的とする.今年度の研究成果を以下にまとめる. *数理モデルの構築 Emoto et a1.[2010]は,ランダム媒質の自由表面におけるベクトル波エンベロープの導出に初めて成功した.P波の鉛直入射の場合,上下動成分のみならず水平同成分についても,無限媒質の場合と比べて振幅は約2倍増幅されることが示され,数値解析からもその妥当性が確かめられた.これはリソフェアの不均質構造解析の数理的基盤となる。Sato [2010]は,雑微動の相互相関解析から散乱媒質におけるグリーン関数を抽出することができることを,一次散乱近似に基づいて証明した.Margerin and Sato[2011]はこれを拡張し,すべての高次散乱を考慮し,これに光学定理を適用すれば,グリーン関数を抽出することができることを証明した.これらの研究は,雑微動の相互相関解析からコーダを持つ散乱媒質のグリーン関数抽出に数理的な保証を与える. *不均質構造の解析的研究 Tripathi et al.[2010」は、東北地方で観測される浅い地震のS波主要動の継続時間を解析し,火山フロントの東と西で顕著な違いがあることを明らかにした.見かけの継続時間は不均質の強さと減衰の大きさとによって支配されている.この知見は、強震動の被害予測の精緻化に貢献する.
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Research Products
(9 results)