2010 Fiscal Year Annual Research Report
モデリング誤差に起因する共分散成分を考慮した震源過程解析手法の確立
Project/Area Number |
21540428
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八木 勇治 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (50370713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深畑 幸俊 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10313206)
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Keywords | 大地震の震源過程 / 時系列解析 / インバージョン解析 |
Research Abstract |
断層面上での破壊の進展を記述する地震の震源過程モデルは、震源の物理を解明する上で必須の情報であり、主に地震波形データをインバージョン解析することにより推定される。インバージョン解析では、データの誤差は観測誤差とモデリング誤差の和として定義されている。モデリング誤差は、グリーン関数の誤差などモデルが不完全であるために生じる誤差で、通常データ間に大きな相関を作り出す。しかし、これまでの研究では,各データの誤差が完全に独立であると仮定してインバージョン解析がなされてきた。本研究では、モデリング誤差に起因するデータ間の相関(共分散成分)を取り入れた新たな震源過程解析手法の定式化を行い、その定式化に従いプログラムを作成した。結果として、世界に先駆けて、巨大地震の解析を安定に行うことに必須のグリーン関数の不確定性の効果を考慮した定式化を完成させた。本手法を、解析が困難であるとされている津波地震である2006年ジャワ津波地震に適用した。手法の有効性を示すために、グリーン関数の誤差を入れた理論波形を用いて数値実験を行い、従来の手法では解析結果が不安定になることを確認した。また実際の解析を行い、数値実験の結果と同様の結果が得られることを示した。本内容は、平成22年11月にGeophysical Journal Internationalに投稿し、平成23年4月に受理された。本手法を、多くの地震に適用することにより、他の手法とは異なる安定した結果を、客観的な方法で求めることに成功した。解析結果については、多くのマスコミに引用されている。
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