2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540429
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10114696)
|
Keywords | 地震 / スロースリップ / 断層 / 多孔質媒質 / 微動 |
Research Abstract |
今年度は、ゆっくり地震の多様性を深く理解するために、微動と同期するスロースリップおよび微動と同期しないスロースリップを同一の枠組みでモデル化を行った。 微動は、わずかながらも地震波を放射するため、このような研究では動的枠組みでのモデル化が必要である。また、スロースリップは長時間継続するため、長時間計算が必要となる。一般に、完全に動的な枠組みで長時間計算を実行するのは困難がともなうが、高速計算可能な境界積分法を用い、さらに、流体・温度拡散を1重積分で表すことにより、効率的計算を可能とした。これにより、10分程度の完全に動的な計算が可能となった。断層モデルとしては、前年度と同様、流体でみたされた熱多孔質媒質中の2次元平面断層を仮定した。これにより、静止摩擦係数が十分に小さい場合、微動を伴わない長時間継続するスロースリップが起こりうることがわかった。また、静止摩擦係数が比較的大きな場合は、微動を伴うスロースリップが起こりうる。いずれの場合とも、ゆっくりとしたすべりが継続するためには、すべりによる空隙生成が摩擦熱変化よりも卓越することが必要である(dilatancy strengtheningと呼ばれる)。しかし、断層周辺に流体が存在するため、断層上に生成した空隙に徐々に流体が流れ込み、すべり強度を低下させる。これが、微動を発生させるメカニズムであると理解された。さらに、様々なモデルパラメタを仮定して地震モーメントの時間変化を調べたが、二つの独立なグループに分類されることがわかった。すなわち、ゆっくり地震および高速地震に対応するものの二つであるが、ゆっくり地震に対応するものは、高速地震よりもモーメント変化率が著しく小さいこともわかった。
|
Research Products
(3 results)