2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10114696)
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Keywords | 地震 / スロースリップ / 断層 / 多孔質媒質 / 微動 |
Research Abstract |
まずは、22年度の研究を継続し、微動と同期するスロースリップのモデル化・および数値計算を実行し、その成果を論文としてまとめた。スロースリップや微動の諸特徴をうまくモデル化できたが、微動の逆伝播(断層端から、すでに滑りが生じた領域に向かって伝播するということ)速度が、媒質のS波速度となる。これは、観測事実よりもはるかに大きく、問題として残った。23年度は、これを解決するために、モデルの高度化を図った。22年度までは、数学的取り扱いの簡単化のため、流体は断層に直交方向のみに流れると仮定してきた。しかし、断層の露頭観測などによると、断層に平行方向の透水率は直交方向のものよりはるかに大きいことが知られている。これは、断層に平行な方向へ流体拡散が卓越的であることを示唆している。そのため、23年度には、断層に平行方向への流体の流れを仮定して、新たな数値計算手法を開発し、微動と同期するスロースリップのモデル化と数値計算を実行した。仮に、断層に平行方向の流体拡散がきい大きいとすると、断層上での流体圧の上昇の程度は非一様となり、微動の逆伝播に対して抵抗を与える。そのため逆伝播速度はS波速度に比べてずっと小さくなりうると想像される。数値計算によると、この想像が正しいということが確認された。実際、計算された微動の逆伝播速度は、10-100km/h程度であり、観測事実と大まかな一致を示す。また、スロースリップと微動の諸特徴も包括的にモデル化ができた。
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Research Products
(3 results)