2010 Fiscal Year Annual Research Report
不均質地殻構造内で発生する地震が作る応力場の理論的研究
Project/Area Number |
21540430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮武 隆 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60126183)
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Keywords | 固体地球物理 / 地震 / 震源 / 応力 / 誘発 |
Research Abstract |
今年度は,以下の研究を遂行した. (1)「ツールの公開に向けて計算コードの改良」を前倒しで行なった. (2)不均質媒質中での応力場・変位場の基本的性質の研究 これらは本研究計画,初年度に行った基本的性質や発見についての研究を継続したものである.不均質な地殻内で発生する大地震の作り出す周辺の静的応力場の変化に関して,その研究結果の1部は論文として学術誌に出版済みであるが,これらは,こく少数例に過ぎない。現実の構造の多様性を考えると,さらに様々な場合についての応力分布の研究を継続する必要がある.また地殻構造のより生じる特徴的な応力分布の研究,どのようなメカニズムで不均質応力分布が生じるのかについて,理論的に解明する必要もある.本年度の上記(2)は後者について行うものであり,本研究計画で作成した基本ツールを元に計算コードを作成して不均質構造をもつ震源域に広域応力を加えると生じる不均質応力の研究を中心に行った.不均質構造として,本年度は,新潟県中越地震震源域を単純化したモデルをいくつか作成し,それに造構応力を加圧して応力解析を行った.単純化したのは,その方が物理的理解を得やすいためである.計算の結果,想定断層上の応力分布からアスペリティやバリアーらしきものが浮かび上がり,地下構造と震源過程の間に関係がありそうなことが見えてきた.つまり,不均質地下構造がそこで発生する大地震の震源過程の基本的性質をあらかじめ決めている可能性が示唆された.このアイデアを理論的検証するために,不均質構造と応力場の基礎研究を集中して行った.その結果は、平成22年11月に広島市で行われた日本地震学会秋季大会,平成22年12月に米国サンフランシスコで開催された米国地球物理連合秋季大会で発表した.
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Research Products
(2 results)