2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540435
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小田 仁 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50127552)
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Keywords | S波偏向異方性 / 大陸地殻 / 海洋地殻 / マントルウエッジ / Ps変換波 / レシーバ関数 |
Research Abstract |
本研究では、大陸モホ、海洋プレート最上部、海洋モホの速度不連続面で発生するPs変換波を検出し、それらのS波偏向異方性を測定することにより、沈み込み帯における大陸地殻、マントルウエッジ、海洋地殻(海洋プレート)の異方性を調べることを目的とした。 地震波異方性と傾斜構造によるPs変換波の波形へ及ぼす影響はよく似ていることが知られている。そこで、二つの影響の違いを見るために、沈み込み帯のマントルウエッジを想定した傾斜構造の速度モデルに対してレシーバ関数を合成した。異方性が存在するときは、傾斜構造とは無関係に、Ps変換波の水平面内の粒子運動が閉曲線を描き、異方性が無い場合には直線的な粒子運動となることが分かった。次に、実際の遠地地震の観測記録からPs変換波を同定するためにP波レシーバ関数を求めた。対象とした地域は東北地方である。観測記録は防災科学技術研究所の広帯域地震観測網の9観測点で得られたものである。太平洋側の観測点で得られたレシーバ関数には、プレート上面と海洋モホで生じたと考えられるPs変換波が明瞭に見られるが、日本海側の観測点ではそれが不明瞭であった。また、西から到来する地震波ほど、Ps変換波の到着時間が遅い傾向が見られた。さらに、水平二成分に現れるPs変換波は閉曲線の粒子運動を描くので、マントルウエッジや海洋地殻内では異方性が存在していると推測される。そこで、レシーバ関数のPs変換波から、分裂したS波が速く伝わる振動方向と分裂した成分の時間差を、波形相関法を用いて測定した。結果は、暫定的であるが、三陸海岸に沿う観測点では、マントルウエッジのS波偏向異方性は南北成分で速く、それ以外の地域では東西成分となることが示された。また、海洋地殻とマントルウエッジの異方性には大きな違いが見られなかった。今後、得られた結果の詳細な検討や他の観測点で同様な解析を行う必要がある稿
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