2011 Fiscal Year Annual Research Report
小惑星のサイズ分布観測と衝突進化計算による後期重爆撃期仮説の検証
Project/Area Number |
21540441
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
伊藤 孝士 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (40280565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 二美 国立天文台, 国際連携室, 専門研究職員 (20399306)
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Keywords | 小惑星 / クレーター / 天体力学 / オールト雲 |
Research Abstract |
今年度は太陽系小天体のサイズ分布を探る中でも端成分となる構成員、すなわち最も小さな部類に入る流星、および最も遠い成分であるオールト雲に関する数値的研究を主眼として研究を進めた。流星と小惑星の関連性に関しては(25143)Itokawaと起源を共通にする流星が過去に観測されているかどうかについての数値実験を行い、軌道類似性から5個の候補を見出した。その候補の中で1975年にカナダで観測された火球(MORP 175)は、軌道の類似性から見ても大気中での運動の振る舞いから推測される物質から見てもItokawaの表面と整合性がありそうである事が判明した。また2011年11月に極大を迎えたジャコビニ流星群の観測をウズベキスタンのマイダナク観測所にて実施し、理論的な予測に従った第一ピークが発生するかどうかの確認作業を行った。この時観測されたデータについては現在解析中である。オールト雲に関しては理論的なオールト雲形成モデルから発生する新彗星が惑星軌道領域でどのような力学的振る舞いを見せるかについて大掛かりな数値実験を行った。その結果、大半の新彗星は数千万年の時間スケールで再び太陽系外に放出されるので、太陽系年齢に渡り惑星領域に留まるような超長期彗星はほぼ存在しないことが判明した。また、幾つかのオールト雲新彗星は一時的あるいは恒久的に特別な分類の小天体に変化し得ることが分かった。例えばSedna的な分離TNOや木星族彗星などである。無論のこと近地球小惑星群への寄与も無視できない量で存在するので、それらが地球型惑星や月面に残したクレーターの痕跡との照合を今後進めてゆく予定である。
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Research Products
(2 results)