Research Abstract |
本研究は,砂山の崩れ方と地震の起り方の類似性に着目し,砂山の崩れ方を詳細に把握することによって,地震発生の予測へのヒントを得ようとするものである.そのために,実際の砂を使った砂山崩しの実験だけでなく,光弾性物質を使った2次元の砂山崩し実験を行い,砂山の内部に発生する応力鎖の構造解析を行うことを本研究の主たる内容としている.光弾性写真を利用して砂山内部の構造を観察することは,構造を直感的に把握することには適しているが,定量的に表現したり解析することはこれまでは困難であった.本研究はこの点を克服し,定量的に,しかも自動的にコンピューターによって処理すること可能とした. 平成23年度は、本研究の最終年度であるので,これまでに開発を行った解析法プログラムを用いて,(1)応力鎖のローズダイアグラム解析,(2)粒子数変化による内部構造変化の追及,を行った.(1)では,得られた画像全体の応力鎖によるローズダイアグラム解析に加え,表面付近の構造における応力鎖のローズダイアグラム解析を行った.この結果,大きな砂山では,表面付近に強力な,斜面に平行な方向の応力鎖が発達し,これが上からの力を支えることにより,臨界状態を形成する.そしてこれが崩壊するときに大きなナダレが発生することが分かった.小さな砂山ではこのような現象は見られず,これが大きな砂山と小さな砂山の崩壊の違いをもたらしていると考えられる.(2)では,隣接した2枚の写真の差を取ることにより,崩壊直前の変化の「静穏化現象」が見られたものもあった.しかしながらこの点についてはさらに検討を要することが判明した.
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