2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540444
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 正弘 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 理工学研究部, グループ長 (60132693)
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Keywords | 熱伝導率 / 熱拡散率 / 比熱 / 高圧力 / マントル物質 / 川井型装置 |
Research Abstract |
地球内部ダイナミクスの研究の一環として地球のマントルを構成する物質の熱伝導率と熱拡散率のマントルの温度圧力条件下での測定を目指す。測定は多アンビル(川井型)装置を用い短い円柱状試料による一次元のパルス加熱法である。また、両者の同時測定により比熱を求める。今年度はスラブ(プレート)の沈み込むところで鍵となる含水物質の一つ、タルクの熱伝導率と熱拡散率をたがいに直交する3方向について測定した。タルクの測定結果はこれまでの場合にくらべて試行ごとのばらつきが大きい。試料が軟らかくて加圧はじめの変形により系統誤差が大きくなり、値を測定精度内(2-3%)に収斂させることが難しいのかもしれない。それを見極めることも含め、測定を継続中である。高圧においてもタルクの熱伝導は同じ含水層状珪酸塩鉱物のジャモン石(アンチゴライト)にくらべて大きな値をもつことがわかったが、むしろ大きな周期構造に起因すると考えられるジャモン石の低い伝導度のほうが特異なのであろう。沈み込むスラブの脱水によって生じたジャモン石がスラブ上で熱絶縁層をつくり、その周辺の温度構造を変えている可能性がある。まだデータの精度から決定的なことはいえないが、タルクやジャモン石では比熱が圧力の増大にたいして変化がないようにも見える。そうだとすると熱膨張率の温度依存性がないということで、これは含水鉱物の格子力学的な特異性を示しているのかもしれない。主要マントル物質については、試料を小さくしてまずカンラン石とザクロ石の測定圧力上限を伸ばすこと予定していた。だが、研究期間の限られていることでもあり、次の段階に考えていたこれまでより小さい試料セルを用いる変形スピネル(圧力15GPa以上必要)と輝石(小さい試料しか使えない)の測定に進むことにした。
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