2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540444
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 正弘 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, グループ長 (60132693)
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Keywords | 熱伝導率 / 熱拡散率 / 比熱 / 高圧力 / マントル物質 / 川井型装置 |
Research Abstract |
地球内部ダイナミクスの研究の一環として地球のマントルを構成する物質の熱伝導率と熱拡散率、さらには比熱のマントルの温度圧力条件下での測定を目指す。測定は短い円柱状試料による一次元のパルス加熱法を適用し、多アンビル(川井型)装置でもって行う。なお、本測定では熱拡散率と熱伝導率を求めるときに加圧や昇温による試料の大きさの変化を補正する必要があるが、同時測定して比熱を求めるときはそのような補正がはいってこないことを確かめた。まず、高温型蛇紋石アンチゴライトの熱伝導率は測定した平均的(バルク)値がもともと小さい上に、配向性を示すタルク試料の測定結果から類推すると、アンチゴライト熱伝導は音波(地震波)速度の小さいc-軸方向ではさらに低くなると考えられる。そこから、沈み込むスラブたとえば琉球弧では、地震波速度の異方性を考えにいれると、厚さ数10kmの蛇紋岩化層においても400Kに達する温度勾配がありうることを示唆した。同じような層状構造をもつ含水ケイ酸塩の熱物性を蛇紋石と比較して調べるためにタルクの熱測定を行ったものの値がなかなか収束しない。そこでタルクの測定はあるところで打ち切ってまとめることを考えている。本研究でつぎに測定する対象物質は上部マントルの主要構成物の輝石であるが、そのアナログ物質として測定したヒスイ輝石の熱拡散率と熱伝導率のデータを吟味した。さらに、輝石を単結晶試料で測定するために、試料の大きさを厚さ0.7mm、直径3mmにして測れるよう高圧セルの大きさをきめ試作を行った。このセルは変形スピネルのマントル条件下の測定にも用いる予定である。
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