2011 Fiscal Year Annual Research Report
西岸境界流の早期離岸と東向ジェット形成に関する研究
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21540447
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保川 厚 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (00178039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 元太 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (30301948)
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Keywords | 海洋循環 / 西岸境界流 / 離岸 / 東向ジェット |
Research Abstract |
1. 東向ジェットの緯度のパラメータ依存性 2層準地衡流モデルを用いて、風応力を固定、no-slip条件の下、東向ジェットの非線形境界層幅と粘性境界層幅への依存性を調べる一連の実験をさらに進めた。広いパラメータ領域で、長期間の積分を多数行うことにより、早期離岸の生じるパラメータ領域はよりはっきりとし、かつ、早期離岸した時の緯度は、粘性や非線形性にほとんど依らないととも明確になった。さらに、初期値依存性を調べることにより、初期静止で始めた時に早期離岸となるパラメータ領域でも、このモデルではほとんどの場合、亜熱帯循環北辺にジェットが沿う解も存在し、多重平衡になっていることが分かった。次に、西岸をpartial slipにした実験を行った。ある程度slipからno-s1ipに近づけると早期離岸解が安定して存在するようになり、その緯度はno-s1ipの場合と同じであった。また、風応力の南北分布をいろいろ変えて、それと早期離岸緯度の対応を見たところ、早期離岸緯度は、循環中心と亜熱帯循環北端間の中央の緯度とスベルドラップ流線が中央値を取る緯度の聞にくる傾向があることが分かった。 2. 海洋大循環モデルにおける早期離岸 準地衡流2層モデルの結果を踏まえ、より現実的な3次元プリミティブ方程式モデルで、風応力を変えてスベルドラップ流線関数と離岸緯度の対応を調べたところ、詳細な比較はまだ行っていないが、おおよそ上記準地衡流モデルと同じような結果を得た。また、詳細はまだ検討が必要ではあるが、早期離岸の場合と早期離岸でない場合を比較したところ、早期離岸の方がジェット東端と内部領域の流れの渦位の差が小さくなることに対応して放射されるロスビー波が弱くなること等が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はまだ方法論等の確立していない部分を含む基礎的研究であるため、見通しの立てにくい部分もあり、交付申請書に書いたことのすべてを遂行したわけではないが、中心的で重要な部分は出来ており、目的に沿った研究の遂行という点では、おおむね順調に進んでいると見なせる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は最終年度なので、必要に応じて追加実験棟を行うとともに、研究のまとめに入る。
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