2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540449
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
児玉 安正 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30205421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 尚毅 東京学芸大学, 自然科学系, 講師 (90392935)
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Keywords | SACZ / 亜熱帯収束帯 / 梅雨前線帯 / ハドレー循環 / モンスーン / 子午面循環 |
Research Abstract |
梅雨前線帯と南大西洋収束帯(SACZ)は,いずれも大陸の東岸で発達する亜熱帯収束帯であるが,南米大陸では海岸付近にブラジル高原という大規模な山塊があり,それがSACZに影響を与えている可能性が指摘されていた.そこで,従来研究が不足していたブラジル高原の影響についてデータ解析と数値実験により系統的な研究を行った.まず,統計解析により,SACZは,ブラジル高原を通る位置にあるとき,最も発達することを示した.中国大陸上の梅雨前線でも卓越しやすい領域の存在が指摘されているが,ブラジル高原とSACZの関係ほど明瞭ではない.次に循環場を解析し,SACZがブラジル高原上で発達するメカニズムとして,高原の南西側に低気圧性循環が生じ,それがSACZに沿った下層の収束を強めることを指摘した.最後に,ブラジル高原の影響を検討する数値実験を行った.ブラジル高原の細かな起伏に富んだ地形を表現するため,従来の研究に比べ高い空間分解能を有するモデルを用いて,次のような実験を行った.1.ブラジル高原の細かな起伏を除く,2.ブラジル高原を除く,3.ブラジル高原はそのままに保ち,ブラジル高原上の降水を止める.以上の実験で,最もSACZの活動が弱まったのは3であった.このことから,SACZの形成にかかわるブラジル高原の役割としては,地形が大規模な気流に影響を与えることよりも,起伏に富んだ高原上のおそらくメソ的なプロセスで降水が強化されることが最も重要であり,高原上の降水が大気の熱源として働くことで高原の南西側に低気圧性循環を形成し,SACZの下層収束を強めることがわかった.本研究はJournal of Climate誌に掲載された.
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Research Products
(5 results)