2009 Fiscal Year Annual Research Report
インド洋の浅い南北循環セルの数年・数十年規模変動に関する研究
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21540450
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
升本 順夫 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60222436)
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Keywords | インド洋 / 南北循環 / 経年変動 / 数十年規模変動 / 海洋大循環モデル |
Research Abstract |
本研究は、高解像度海洋大循環モデルの長期積分結果の解析と、変動の力学過程を取り出して簡単化したモデルによる数値実験を通じて、インド洋の「浅い南北循環セル」に見られる数年から数十年規模変動の詳細を把握し、そのメカニズムとインド洋域における水温変動との関連や、熱帯域の気候変動モードとの関連について明らかにするものである。 本年度は研究初年度として、水平解像度0.1度、鉛直54層の非常に解像度の高い海洋大循環モデルであるOFES (Ocean General Circulation Model for the Earth Simulator)の結果を取得し、約60年間にわたる「浅い南北循環セル」の平均的構造、その変動特性、および重要な構成プロセスについて、特に「浅い南北循環セル」の主要コンポーネントの1つである南半球側の循環セルに焦点を当てて解析を行った。その結果、OFESでも南北循環セルの強さに十年規模、数十年規模の大きな変動が見られた。1992年から2000年にかけては、南半球インド洋熱帯域での貿易風の弱化に伴って、南北循環セルも弱まっていることが示された。また、風応力により直接駆動される表層エクマン流の弱化に加え、この時期には南東部熱帯インド洋上で負の風応力カールが顕著に発達していることが分かった。海洋内部の水温躍層偏差の時間発展などから、この風応力カールが海洋ロスビー波を励起することで躍層深偏差を作り出し、その結果として得られる地衡流変動も十年規模変動に寄与していることも示唆された。 また、南北循環強度の変動をもたらす原因としてこれまでに指摘されている風応力とインドネシア通過流の変動に着目し、これらの強さをパラメータとする感度実験を行うための比較的簡単な数値モデルを作成した。
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